Fashion CHINA 独占インタビュー 04
デザイン芸術と使命感への拘り
特約編集者 李楚鹃
コシノジュンコの話によれば、20数年間、彼女がしたい仕事はただ一つ、デザインである。彼女のデザインは舞台衣装からプレタ(婦人服、紳士服、子供服)まで、更に漆や食器などの日用品に広がっている。
デザインから離れたことがなく、「人々の暮らしを変える」という使命感からも離脱したことがない。
20数年間を振り返ってみれば、コシノジュンコの成功はさまざまな面から伺える。伝統の着物デザインの枠組みを超えた作品は嘗て日本着物協会に強いインパクトを与えた。1990年、アジア大会のためにデザインした未来志向の体育服装によって、スポーツファッションに新しい変化をもたらした……ここで特筆したいのは今年初、ニューヨーク・ブロードウェーのオペラ『太平洋序曲』の舞台服装をデザインした彼女が、トニー賞の最優秀衣装賞にノミネートされた。
“影響されない自分自身でいて、好きなものも嫌いなものもはっきりさせ、自分の造型感覚に自信をもって、「時代のニーズ」を予感し、人々の待望感を与える。”
Fashion CHINA:歌手の衣装デザインはコシノ先生がファッション業界に入ったきっかけとですが、その経歴はステージ服装の創作において、大いに役に立ちましたでしょうか?
コシノジュンコ:そうですね。影響が少なくないです。ステージ、歌手の服装のデザインがうまいですよ。芸術が共通したもので、普段はオペラが好きで、特にイタリアのオペラとフランス映画です。本当の芸術は流行に左右されません。イタリアのあるオペラ監督の作品は二、三十年後に見ても依然として先に走っています。自分の作品もこうなってほしいです。
Fashion CHINA:デザイン芸術ということですが、生活用品のための服装デザインとして、どうやって流行と個性、現代と未来の間の関係を把握していますか?そして、どうやって芸術デザインという考えを服装デザイン理念の中で続けていますか?
コシノジュンコ:確かにファッションは流行に影響を受けやすいことは間違いないです。生活性と現実性という意味で服の実用性と着る場所を考えなければならないです。たとえば旅行のための服は旅行の場面を考えるべきです。しかし、デザイン理念と芸術作品は一致するはずです。
ファッションは「用の美」の追求でもあります、「自分自身」と「出会い」と「時代」この三つがひとつになってモノつくり作品となっていくわけです。影響されない自分自身でいて、好きなものも嫌いなものもはっきりさせ、自分の造型感覚に自信をもって、「時代のニーズ」を予感し、人々の待望感を与える。人々の批判をかわせられ、説得力のあるものがないとね…おそらくプリミティブがシリーズ化したことは、そしてそれが受けたということは「時代」が求めていたものなのでしょう。「時代」はつねに「変化」を求めます、この先取りを提供できないとデザイナーは苦境に追い込まれます。
今回の北京のファッションショウでは一般の方からもメディアからも東洋的Eastern Designといった感想をよく聞きました、この作品群は東京で作ったもので特に東洋を意識したこともなく自分が今大きなパーティで着てゆきたい服はというものばかりでした。実際東京の店でもお客様には評判もよろしいのですが、特に海外のレセプションに出席する方には好評のようです。これにはそこに「民族のエスプリ」を見つけ出したのでしょう。
“私たちが築き上げた「哲学」の代弁としてのBRANDの今後のテーマは「コミュニケーションとファッション」場合よっては「コミュニケーション自体」がファッションであるということになるでしょう。”
Fashion CHINA:長い間デザイン事業に専念して、そしてパリコレにもよく参加することは、JUNKO KOSHINOというブランドに沢山の商業報酬を持たせたでしょう?コシノジュンコ:パリのコレクションに1978年から2000年まで参加しましたが、パリコレを見てイタリアの優秀メーカーがデザインの提携をしたいと申し出がありました。JUNKO KOSHINO Italiaというブランドで何年も仕事をしました。ここでの製品は彼らの手によってヨーロッパ、アメリカへ送り出されたものです。最近では家具のデザインの依頼もイタリアからあって展開をしました。そういう意味では作品や自分自身の表現(デザイン)で世界を目指すときはパリという場所は重要なところだと思います。
ただ常に創作という新しい未来のためのデザインは基本ですから、この達成のために何に眼を向けるべきか、これがモノをつくる、そしてそれが事業と連帯しているファッション、デザイン&ビジネスという芸術と隣接したこの仕事を(デザインの素養を芸術とは切り離せないことである認識をお知らせすることも重要)達成してデザイナーの仕事の領域の拡大はあとに続く人々へのビジョンになるものだと思います。
世界の領域(マーケット)に自分を示すのと自分の領域(才能)を世界に普及。
これは自分のキャラクター(個性・特徴)の自己発見が大事です。
Fashion CHINA:先生はとてもエネルギッシュだと聞いておりますが、普段の一日をどのように過ごされているかをお聞かせください。ご自宅で休んでいる時は何をなさいますか?もっとも満足感を得ることは何ですか?
コシノジュンコ:おそらく頭の中が空白の状態が、我慢できない性分なのでしょう。家で時間のあるときはいろいろなものの整理、そして料理も集中できていいですね。遊びも仕事も集中が好きなようです。人との集いが望むと望まずにかかわらず休日も含めて多いです。人好きなのですね。
Fashion CHINA:現役で活躍されている大物デザイナーとして先生は日本ファッション業界の繁栄期そして現在の緩やかな時期を経験されましたが、日本ファッション業界の現状についてコメントをいただけますか?
また、貴社の自社ブランドの更なる発展のビジョンについてお話を聞かせていただけますか?
コシノジュンコ:日本のファッションとその業界について「混沌」という言葉がありますが、残念ながらファッションも経済とは切っても切り離せない産業です。ファッションは日本では「繊維」中国では「紡織」といった工業事業の先端的役割です。経済の進展とその崩壊は流れを大きく変えます。
日本のファッションビジネスに大転換期をあたえた経済崩壊は大衆の購買意識を変えましたがIT出現により流通事業の仕組み流れに大変化が起きました。ひとつの経済景気単位でのサクセスと次の景気単位でのファッション需要はフレッシュ顧客ともいえる服が必要な若い顧客層に元気が現れる。「時代」の要求と要望ですので大衆のファッションにたいする憧れや願望は消えることはありませんが、「着る」こと対して旺盛な「世代」、若者といってしまえばそれだけですがここには、「感性の共有」ともいえる需要は期待できますが、成熟高齢化社会におけるファッションの拡大は厳しいものがあります。
ですので先にふれた自分の領域を広げる、広がった領域での表現は可能性が大きいです。
オペラや京劇にいたるまで「衣」はなくてはならない「具」であります。私たちが築き上げた「哲学」の代弁(ここではあえて哲学にしました。)としてのBRANDの今後のテーマは「コミュニケーションとファッション」場合よっては「コミュニケーション自体」がファッションであるということになるでしょう。
今後はこの「コミュニケーション」の場の真ん中に「JUNKO KOSHINO」というブランドが位置づけられるでしょう。そしてその具体的展開をまさに立案をしておりまして、その具現に中国はうってつけの「領域」になります。
by jkf