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Speccial Message from 宋建明 03

(三)
コシノジュンコは20年前に既に北京の人民大会堂でファッションショーを行ったことがある。当時、彼女は、端的に言えばファッションの啓蒙に来たのである。20年が過ぎ、北京は様変わりし、「ファッション」「流行」「トレンド」といった言葉は慣用語になっている。今日彼女は北京に戻り、自らの中国進出20周年記念ショーを行った。異なっているのは、このショーが「新生活ファッション」の観念の命題の中で展開されたことだ。過去コシノ夫妻は国際間で大きく国境を跨いだ。東京・パリとニューヨークの間で、日本・ベトナムとキューバの間で、伝統文化と現代生活の間で生活して感じ取ったもの。それゆえに彼女が20年前に始めた「国境を越えた仕事」を構想・演出し続けるのである。だから、このショーは、彼らの芸術の実践と長年の文化的思考が積み重なった縮図ともいえる。今回のファッションショーを見て、私達は大体このような印象を持った。

第一に、彼女の服装の理念は日本の伝統的和服芸術から養分を得たものである。日本固有の伝統文化の土台、この土台の文化の源は古代中国の文化に遡れるものであるが、後に日本の文化人や職人の手により徐々に日本化の過程を完成し、中国文化の特色とは異なる「和の文化」と称される文化形態を形成した。コシノさんの言い方によれば、「西洋と東洋の間、古代中国の風俗習慣や精神と、徐々に形を成していった日本文化の間に、「和」と称される文化の雰囲気が生み出す『和食・和服・和風』といった文化形態がある。」彼女が日本の伝統文化に対し唱える「禅の境地」の精神とその表現とは:主体が静謐な境地の中で際立つこと、簡潔な形態の中に精緻を表現すること。同時に、彼女は長年ファッションの最前線で活躍してきたので、プレタポルテブランドのデザインと経営を知り尽くしている。だから、伝統美学観と現代ファッション観が融合し歩み寄る中で生まれる新しい発想が、コシノさんが次々に新作を生み出す原動力となっているのである。そのため、彼女のプレタポルテやファッションの中から、沢山の和服の技術や美学的な意味、例えば服地の選び方や再加工・裁断の型・装飾の模様や色彩…を見出すことができる。私はこれこそが彼女の服特有の美の原因だと思う。

その次に、彼女はその他の民族の伝統文化とその服装の特色に注目しており、これが彼女の人類文化への認識を多元化し、多様で豊富なものにしている。日本の文化環境には多元的な文化現象が存在し、一部の分野ではそれが非常に極端である。近代以来、「国際化」の色彩を帯びた欧米の「洋」文化が侵入したが、その頃の日本人は崇拝するような心理でまるごと受け入れ、研究を行った。日本が国際経済の分野で西洋諸国と平等に対話できる実力を顕示するようになるにつれ、国際化の心理はしばしば「アジア」の存在を忘れさせた。特に若い人々は前の世代の人々のように一様に西洋の潮流を追い求めるばかりでなく、自己表現に夢中になり、自国の中で彼らがファッションの要素だと考える様々なものを吸収し、各種の珍妙な、マンガのような色彩のものを集めて組み合わせ、当代日本の特色ある新しいファッショントレンドを作りあげている…。このような環境では当然その他の各種異なる民族文化の色彩を持つ事物も表現される。「爆発的な情報の高速伝達がなされる昨今の時代においても、多くの「ファッション」が長年のうちに人々の骨の髄まで浸透し、根を張っている。いくつかのファッション潮流は現れてはすぐに消え、線香花火のようなものだ。しかし、あるファッションは広く受け入れられる民族的文化にまで発展変化し、それが元々舶来品であったことなど分らないほどになる。」(コシノさんの言葉)
第三に、彼女の現在主流のファッション潮流趨勢に対する関心がある。新感覚・新材料・新技術…これらを選び取り、創造的実験を行って、「新生活文化」の形態に対する思考に振り向けるのである。

いわゆる国際的な激しい大潮流という背景にあって、人々の都市生活をめぐるモノは次々と現れて尽きることがないが、デザインの角度からその形態を考えると、容易に型にはまったものを発見でき、人を窒息させるに足る。だから、造物のオリジナリティーの問題が際立つのである。いかに似通った形の中から囲いを突破するか、コシノジュンコのようなファッションクリエイターについて言えば、最終的に生活方式や生活形態を見つめ直すことが必然的に要求される。コシノジュンコの目から見ると、「『ファッション』という言葉は時代を映す鏡で、一種の時代に対する憧憬をも表現している。」、果ては「一種のファッション運動」と考えられたりさえする。彼らは必然的に批判的なまなざしでこの環境の性質を見つめることを余儀なくされ、「新しい生活」を営造するという命題を打ち出す。だから、コシノさんは服装からアクセサリーへ・器へ・空間へ・生活環境へ・飲食へ、ひいては行動様式の向上にまで、彼女の視線が注がれるところでありさえすれば、まちがいなく一つも逃すことはなく、その能力で改造を加えなければならない。こうして「新生活」の名の下のトータルな形態デザインを展開するのである。


このように入り組んだ多元性と多様性の織り成す文化環境の中で生活し、二十年来、コシノさんの思想はきっと衝撃や調整の過程を経験してきたであろう。筆者は中国のデザイン理論の研究者として、コシノジュンコの芸術思想とデザインの実践を観察し、彼女のファッション観を解読してきたので、彼女のファッション観が既に服装自体を超越し、「文化」「新生活」と結びついていることに気づくのは難しいことではない。このような高みに立ってのみ、初めて彼女の「ファッション」の名の下にある全ての内容を縦覧することができるのである。

中国美術学院・色彩研究所
2005年7月11日

by jkf