Speccial Message from 宋建明 02
序曲は真っ暗な中で始まった。二本の冷たい青い光が徐々に明るくなり、鉄錆のような赤色の服を着て、うつむいた演奏者に焦点が合わされた。臓腑をえぐるような京胡がむせび泣くように、訴えるように、遠くから近くへ、低から次第に高へ、立ちのぼってゆく…。中国伝統の一種の悲愴美が周囲に満ち、心が引き締まる。曲の音が次第に低くなり、六名の伝統的和服を着た中国女性がゆっくりと登場した。
続いて、コシノさんが心を込めてデザインした十余のシリーズのファッションが、それぞれ異なるリズムの楽曲に合わせて次々と現れる。服は「呉服」と称される古風な服装を母体とし、様々な新しいファッションスタイルを加味したドレスで、服の形・長い袖・ベルト…私の見たところ、漢や唐の時代の衣装の延長線上にあるようなものも多く感じられた。和服を基礎に発展変化させたもの・皮革を編んだものとシルク素材を組み合わせたもの・華麗できらびやかな金色のもの・毛皮コートとある種の民族アクセサリーを、ベルトを編む手法で組み合わせたもの・黒いスカートを下着にし、外側に鮮やかな色調を羽織ったもの・透明と不透明な布地を織り交ぜ、更に伝統的な図柄を刺繍したロングドレス・古風な斜めに裁ったワンピースに現代的な装飾を合わせたもの・輪郭線に不規則な不完全感のあるもの・幾層にも重なり合ったもの・一枚の布を切って作ったリボン状のもの・幅広の織物を編み上げたもの・肌を隠しつつも見えそうなもの…、これら元々何ら生命の表徴ももたない衣服製造材料が淡々と天成のイメージとなるよう構成され、長くなったり短くなったり、緩めたりたり引き締められたり…、一組一組の服が、ゆっくりと代わるがわる披露され、日本の「華道」芸術のような放射状や、長さが不均一な髪の束を組み合わせた髪型や髪飾りとあいまってとても美しかった。最後の一組は、ブラックシルクのロングドレスで、松・雲・波のような伝統の模様が金色で刺繍されており、和風をアレンジした髪型に2本の非常に長いかんざしを差している様は、釣竿が空中でゆれているようで、人の耳目をそばだてた。
ファッションショー全体は、色使いが濃艶で、対比は力強く、古風な香りが濃厚ながら、ファッション性を失っておらず、東西文化のファッション精神が集まり融合しあう中であの特殊な境地が現出したのである。もし私達が服装の形態美学の角度から今回のコシノさんのショーで表現された服装の表情を見るなら、私は、一種のイメージ感が比較的大きく現れていたと思う。それは形態の「突きぬけ」感である。「突きぬけ」の中から奇を求め、精緻を求め、日本の伝統工芸のあの品位を求める。みなコシノさんのデザイン手法である「冒険」の中から「新しさを求める」意図を見ることができる。再加工された布地が、巧妙に組み合わされている中に、コシノさんがこの危険な技を思い通りに扱っている様子が十分に見て取れる。これには勇気が必要である。ショー全体が一気呵成で、その美は数え切れない。その言葉に言い尽せないほどのファッションの世界は、まことに豊富多彩である。
by jkf